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明治時代に起きた葬儀革命:日本の弔い方はこうして変わった

  • yukan
  • 6月23日
  • 読了時間: 5分
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こんにちは。今日は日本の葬儀文化の歴史について、特に明治時代に起きた大きな変化をご紹介したいと思います。


私たちが日々お客様にお手伝いさせていただく葬儀の形は、実は明治時代に大きく変わったことをご存知でしょうか。

江戸時代と明治時代では、まるで正反対といえるほど葬儀の在り方が変化しています。


この変化を知ることで、現代の葬儀の意味や、私たちがお客様に提供できる価値について、より深く理解していただけるのではないでしょうか。

江戸時代の葬儀:制約の中での弔い


江戸時代の葬儀は、現代の私たちからは想像もつかないほど制約の多いものでした。


身分制度による厳格な規制

当時の社会は「士農工商」という厳格な身分制度で成り立っていました。商人は経済的には豊かでしたが、社会的地位は最も低く、どれほど財力があっても派手な葬儀を行うことは法律で禁じられていました。


江戸時代の葬儀の特徴

  • 開催時間:夜間限定(人目につかないように)

  • 移動経路:裏道や人通りの少ない道のみ

  • 装飾:質素倹約が義務づけられる

  • 規模:身分に応じた厳格な制限


遺族の心境

愛する家族を亡くした遺族にとって、この制約は大きな精神的負担でした。心から望む形で故人を送り出したいという自然な願いが、社会制度によって制限されていたのです。

この時代、多くの人々の心の中には「いつか、心から望む形で大切な人を送り出したい」という想いが蓄積されていたと考えられます。

明治維新:解放された想いが生んだ変化


1868年の明治維新により「四民平等」が宣言されると、これまで抑圧されていた人々の想いが一気に表れました。


葬儀文化の劇的変化


江戸時代の「夜間にひっそり」から、明治時代の「白昼堂々」へ。この変化は単なる時間帯の違いではなく、日本人の死生観と社会意識の根本的な変革を表しています。


明治時代の葬儀の特徴

  • 開催時間:昼間(多くの人に見てもらうため)

  • 移動経路:メインストリートを堂々と行進

  • 装飾:可能な限り豪華に

  • 規模:家庭の社会的地位を示すステータスシンボル


競争の激化と新たな問題


しかし、制約からの解放は予期せぬ問題も生み出しました。人々は競うように豪華な葬儀を行うようになり、「葬儀が二度あるとその家は破産する」という深刻な状況が生まれました。

日本初の葬儀社誕生:問題解決への知恵

この社会問題に対して、革新的な解決策を提示したのが日本初の「葬儀社」でした。


画期的なビジネスモデル

当時の起業家たちが考案したのは、現在でいう「レンタルサービス」でした。一度しか使わない高価な葬儀用品を購入するのではなく、必要な時に借りるという仕組みです。


レンタル対象となった主な葬儀用品

  • 豪華な棺

  • 装飾用の花輪

  • 提灯各種

  • 棺を運ぶための駕籠

  • 祭壇装飾一式


三方良しの解決策

この仕組みにより、以下のような効果が生まれました。


お客様にとって:豪華な葬儀を適正な価格で実現

事業者にとって:新たなビジネス機会の創出

社会にとって:過度な消費による経済負担の軽減

明治時代の葬儀の一日


明治時代の実際の葬儀がどのように行われていたかを、一日の流れとともにご紹介します。


深夜:末期の水から始まる弔い

故人が息を引き取った後、家族による「末期の水」の儀式が行われます。これは現代でも続いている、家族による最後の親孝行です。


夜明け:地域への訃報伝達

二人の使者が近隣を回り、訃報を伝えて回ります。現代の通信手段がない時代、人と人とのつながりが情報ネットワークの基盤でした。


朝:専門業者による準備

葬儀社のスタッフが到着し、祭壇の設営や全体の進行管理を行います。この時代から、葬儀の専門知識を持つプロフェッショナルの重要性が認識されていました。


夜通し:コミュニティで支える通夜

明治時代の通夜は現代とは大きく異なり、非常に賑やかなものでした。近隣の人々が集まり、食べ物や飲み物を共にしながら故人を偲びました。これは地域コミュニティで故人を支える文化の表れでした。


昼間:街を挙げての葬列

翌日の葬列は、まさに街全体で故人を送り出す儀式でした。提灯持ち、花輪担ぎ、香炉持ちなど、それぞれに役割を分担した行列が街を練り歩きました。


夜間:技術制約下での火葬

当時の火葬技術では完全な燃焼に一晩を要したため、家族は近くで一夜を過ごしました。現代の効率的な火葬とは異なり、故人と過ごす最後の長い時間でした。

現代への示唆:変わるものと変わらないもの


明治時代の葬儀革命から、私たちは多くのことを学ぶことができます。


時代に応じた適応力

明治の人々が示したのは、社会情勢の変化に応じて葬送文化を適応させる柔軟性でした。現在、コロナ禍により葬儀の在り方が見直されていますが、これも時代に応じた適応の一つと捉えることができます。


専門性の重要性

葬儀社の誕生は、葬儀における専門知識とサービスの重要性を示しています。複雑な準備や進行管理、技術的な課題への対応など、専門性があってこそ実現できる価値があります。


不変の価値

時代や形式が変わっても、「愛する人を心を込めて送り出したい」という基本的な想いは変わりません。私たち葬儀に携わる者の使命は、この普遍的な想いを、時代に応じた最適な形で実現することです。

おわりに

明治時代に起きた葬儀革命は、制約からの解放、新たな問題の発生、そしてそれに対する創意工夫による解決という一連の流れを示しています。


現代においても、社会情勢の変化により葬儀の在り方は常に見直されています。私たちは明治時代の先人たちと同様に、時代の要請に応えながら、お客様の想いを大切にした葬儀をお手伝いしていきたいと考えています。


ご葬儀についてのご相談やご質問がございましたら、いつでもお気軽にお声がけください。豊富な経験と専門知識を持つスタッフが、皆様のお気持ちに寄り添いながら、心のこもったお別れのお手伝いをさせていただきます。



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