お通夜と告別式の違いとは?参列マナーから服装まで詳しく解説
- yukan
- 6月26日
- 読了時間: 9分
更新日:6月27日

「お通夜と告別式、どちらに参列すればいいの?」
「両方参列するのがマナー?」
「服装や持ち物は同じでいいの?」
お葬式に関する訃報を受けた時、多くの方がこのような疑問を抱かれます。
お通夜と告別式は混同されがちですが、実は目的や意味合いが大きく異なる別々の儀式なのです。
今回は、お通夜と告別式の基本的な違いから、どちらに参列すべきか、それぞれのマナーまで、長年お葬式に携わってきた私たちが詳しく解説します。
これを読めば、安心して適切な参列ができるようになります。
お通夜と告別式の基本的な違い
お通夜(つや)とは
本来の意味と目的
お通夜は、故人と特に親しい人たちが最後の夜を共に過ごすための儀式です。
「通夜」の語源
文字通り「夜を通す」という意味
故人を一人にしないという想い
家族の絆を深める時間
現代のお通夜の特徴
参加者:家族・親族・親しい友人が中心
時間:夕方から夜にかけて(通常18時〜20時頃)
所要時間:2〜3時間程度(現在は「半通夜」が主流)
雰囲気:比較的親密で家族的
お通夜の歴史的変化
昔の通夜(一晩中)
ろうそくや線香の火を絶やさない
家族が夜通し故人を見守る
故人の霊を慰める意味
現代の半通夜(2〜3時間)
防火上の安全配慮
会場の都合や参列者の負担軽減
働く人の生活スタイルに配慮
告別式(こくべつしき)とは
本来の意味と目的
告別式は、広く故人と縁のあった人たちが最後の別れを告げる社会的な儀式です。
葬儀と告別式の違い
葬儀:宗教的な意味合い(故人の冥福を祈る)
告別式:社会的な意味合い(最後の別れを告げる)
現代の告別式の特徴
参加者:友人・知人・職場関係者など幅広い人々
時間:昼間(通常10時〜12時頃)
所要時間:1〜2時間程度
雰囲気:フォーマルで社会的
告別式の成り立ち
告別式は比較的新しい形式で、明治時代後期から始まりました。
誕生のきっかけ
都市化により参列者が増加
宗教的な葬儀とは別に、社会的な別れの場が必要に
1901年の中江兆民氏の告別式が起源とされる
お通夜と告別式の詳しい比較
基本情報の比較表
項目 | お通夜 | 告別式 |
目的 | 故人と親しい人が最後の夜を共に過ごす | 広く知人・友人が故人に最後の別れを告げる |
性格 | 宗教的・家族的 | 社会的・公的 |
時間帯 | 夕方〜夜(18:00〜20:00頃) | 昼間(10:00〜12:00頃) |
所要時間 | 2〜3時間 | 1〜2時間 |
参加者 | 家族・親族・親しい友人<br>(近年は職場関係者も) | 友人・知人・職場関係者など<br>故人と縁のあった幅広い人々 |
主な内容 | 読経・焼香・通夜振舞い | 焼香・弔辞・弔電拝読・喪主挨拶 |
服装 | 略喪服でも可 | 正喪服または略喪服 |
香典 | 持参(両方参列する場合はお通夜で) | 持参(お通夜で渡していない場合) |
儀式の内容比較
お通夜の流れ
一般的なお通夜の進行(約2時間)
受付開始(17:30頃〜)
開式の挨拶(18:00)
僧侶入場・読経(30分程度)
参列者焼香(故人との関係の深い順)
僧侶退場・閉式の挨拶(19:00頃)
通夜振舞い(19:00〜20:00頃)
通夜振舞いとは
参列者への感謝を込めた飲食の席
故人の思い出を語り合う時間
全員参加が基本マナー(少しでも箸をつける)
告別式の流れ
一般的な告別式の進行(約1.5時間)
受付開始(9:30頃〜)
開式の挨拶(10:00)
僧侶入場・読経(30分程度)
弔辞・弔電拝読(10分程度)
参列者焼香(20分程度)
喪主挨拶(5分程度)
閉式・出棺準備(11:30頃)
出棺(12:00頃)
出棺後の流れ
火葬場へ同行(主に家族・親族・親しい友人)
火葬・骨上げ
初七日法要(繰り上げ法要として同日に行う場合も)
どちらに参列すべき?関係性別のガイド
故人との関係性による参列パターン
家族・親族の場合
基本的な参列パターン
お通夜:参列(主催者として)
告別式:参列(主催者として)
火葬:同行
役割
受付や案内などの手伝い
参列者への挨拶
通夜振舞いの準備・接待
親しい友人・知人の場合
基本的な参列パターン
お通夜:参列
告別式:参列
火葬:ご遺族の意向により
マナーのポイント
両方参列する場合、香典はお通夜で渡す
告別式では記帳のみ
通夜振舞いには必ず参加
職場関係・知人の場合
基本的な参列パターン
お通夜:参列(仕事帰りに都合がつく場合)
告別式:参列(本来はこちらが適している)
火葬:基本的に同行しない
現代の傾向
仕事の都合でお通夜のみ参列する人が増加
会社として団体で参列する場合は告別式が一般的
どちらか一方でも問題なし
近所の方・地域の方の場合
基本的な参列パターン
お通夜:地域の慣習による
告別式:参列
火葬:基本的に同行しない
地域による違い
田舎では近所の方もお通夜に参列する慣習が残る地域も
都市部では告別式のみの参列が一般的
参列を決める際の判断基準
迷った時の基本ルール
最優先事項
故人やご遺族の意向を最も尊重
自分の都合も考慮(無理は禁物)
関係性の深さで判断
地域の慣習も参考に
どちらか一方しか参列できない場合
親しい関係:お通夜を優先
社会的関係:告別式を優先
時間の都合:参列可能な方を選択
参列時のマナーと注意点
服装について
お通夜の服装
基本的な考え方
「急いで駆けつけた」という意味合いを重視
略喪服または地味な平服でも可
ただし現代では喪服が一般的
男性の服装
正式:ブラックスーツ + 黒ネクタイ
略式:紺やグレーのダークスーツ + 黒ネクタイ
靴・靴下:黒で統一
女性の服装
正式:黒のワンピースまたはスーツ
略式:紺やグレーのダークスーツ
アクセサリー:パール以外は基本的にNG
化粧:控えめに
告別式の服装
基本的な考え方
より正式な服装を心がける
正喪服または略喪服
身だしなみをきちんと整える
男性の服装
ブラックスーツ必須
白シャツ + 黒ネクタイ
黒の革靴 + 黒靴下
時計:地味なものを選択
女性の服装
黒のワンピース・スーツ・アンサンブル
スカート丈:ひざ下程度
ストッキング:黒(肌色は避ける)
靴:黒のパンプス(ヒールは3〜5cm程度)
香典について
香典を渡すタイミング
両方参列する場合
お通夜で渡すのが一般的
告別式では記帳のみ
二重に渡すのはマナー違反
どちらか一方のみ参列
参列する方で渡す
金額は同じ
香典袋の書き方(再確認)
宗教別の表書き
仏教:「御霊前」(四十九日前)、「御仏前」(四十九日後)
神道:「御霊前」「御神前」
キリスト教:「御花料」
無宗教・不明:「御霊前」
焼香のマナー
焼香の基本作法
立礼焼香(立って行う)の手順
祭壇の前で一礼
遺族・僧侶に一礼
焼香台の前に進む
抹香を右手でつまみ、額の高さまで押しいただく
静かに香炉に落とす(回数は宗派による)
合掌
後ろに下がって一礼
遺族に一礼して席に戻る
座礼焼香(座って行う)
基本は立礼と同じ
移動は膝をついて
回り焼香(香炉が回ってくる)
香炉が自分の前に来たら焼香
隣の人に回す
宗派別焼香回数
宗派 | 焼香回数 | 押しいただく |
浄土宗 | 1〜3回 | あり |
浄土真宗本願寺派 | 1回 | なし |
浄土真宗大谷派 | 2回 | なし |
真言宗 | 3回 | あり |
臨済宗 | 1回 | あり |
曹洞宗 | 2回 | 1回目あり、2回目なし |
日蓮宗 | 1〜3回 | あり |
わからない場合
前の人を参考にする
1回でも失礼にはならない
心を込めることが最も大切
言葉遣いとお悔やみの挨拶
基本的なお悔やみの言葉
受付での挨拶
「この度はご愁傷様でした」
「心よりお悔やみ申し上げます」
「突然のことで、お慰めの言葉もございません」
避けるべき言葉(忌み言葉)
重ね言葉:「たびたび」「重ね重ね」「再び」
直接的な表現:「死ぬ」「生きている時」
不幸を連想する言葉:「苦しい」「四」「九」
遺族への接し方
お通夜での接し方
長時間の会話は避ける
簡潔にお悔やみを述べる
故人との思い出は通夜振舞いで
告別式での接し方
より簡潔に
遺族は多忙なため長話は控える
必要に応じて後日改めて
現代のお通夜・告別式事情
時代とともに変わる参列スタイル
参列者の変化
昔の参列パターン
お通夜:家族・親族のみ
告別式:一般参列者
現代の参列パターン
お通夜:一般参列者も増加(仕事帰りに参列しやすい)
告別式:従来通りだが参列者は減少傾向
働き方の変化による影響
平日の告別式が困難
平日休みを取りにくい
お通夜の方が参列しやすい
企業も夕方の外出を認めやすい
解決策として生まれたスタイル
土日の葬儀増加
一日葬(お通夜を省略)
家族葬(参列者を限定)
地域による違い
都市部の特徴
東京・大阪などの大都市
お通夜参列者が増加
告別式は家族中心になる傾向
通夜振舞いも簡素化
地方の特徴
地域コミュニティが強い地域
従来の形式を維持
近所の方もお通夜に参列
地域全体で故人を送る文化
家族葬との関係
家族葬におけるお通夜・告別式
家族葬での一般的なパターン
お通夜・告別式とも家族のみ
一般参列者はお断り
後日、お別れ会を開催する場合も
参列者への配慮
事前に「家族葬で行う」旨を明記
香典・供花の辞退も明確に
理解と協力をお願い
よくある質問と回答
Q1: お通夜と告別式、どちらに参列すべきか迷っています
A: 関係性と都合を考慮して決めましょう。
親しい関係の場合
可能であれば両方参列
どちらか一方ならお通夜を優先
職場関係・知人の場合
本来は告別式が適切
都合がつかなければお通夜でも問題なし
Q2: 香典は両方に持参すべきですか?
A: 両方参列する場合はお通夜のみで結構です。
お通夜で香典を渡す
告別式では記帳のみ
二重に渡すのはマナー違反
Q3: 通夜振舞いは必ず参加すべきですか?
A: 基本的には参加がマナーです。
故人への供養の意味がある
少しでも箸をつけることが大切
長居は不要(30分〜1時間程度)
Q4: 服装はお通夜と告別式で変える必要がありますか?
A: 告別式の方がより正式な服装を心がけてください。
お通夜
略喪服でも可
地味な平服でも許容される場合が
告別式
正喪服または略喪服
よりきちんとした身だしなみを
Q5: 火葬場まで同行すべきでしょうか?
A: 関係性とご遺族の意向により判断してください。
基本的に同行する方
家族・親族
特に親しい友人
故人から特別にお世話になった方
一般的には同行しない方
職場関係者
知人・近所の方
告別式のみ参列の方
まとめ:心を込めた参列が何より大切
覚えておきたい基本ポイント
お通夜と告別式の本質的な違い
お通夜:家族的・宗教的な意味合い
告別式:社会的・公的な意味合い
参列の判断基準
故人との関係性
ご遺族の意向
自分の都合
地域の慣習
マナーの基本
服装は場にふさわしく
言葉遣いは丁寧に
時間は守る
心を込めて参列する
最も大切なこと
お通夜と告別式の違いやマナーも重要ですが、最も大切なのは故人を偲ぶ気持ちとご遺族への思いやりです。
完璧でなくても、心を込めて参列していただければ、その気持ちは必ずご遺族に伝わります。
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