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【初心者向け】曹洞宗とは?「ただ座るだけ」の深い教えと日常に活かせる禅の智慧

  • yukan
  • 7月21日
  • 読了時間: 4分


「禅って難しそう...」

「お坊さんみたいに山にこもらないとできないの?」

そんな風に思っていませんか?実は曹洞宗では「日常生活のすべてが修行」と考えられており、特別なことは何も必要ありません。今回は、日本最大級の禅宗「曹洞宗」の教えを、誰でもわかるように解説します。



曹洞宗ってどんな宗派?

日本最大の禅宗

曹洞宗は、約800年前の鎌倉時代に道元禅師が中国から日本に伝えた禅宗の一派です。現在、全国の寺院数・信徒数ともに禅宗では最大規模を誇ります。


曹洞宗の基本情報

  • 開祖: 道元禅師(1200~1253年)

  • 発展の祖: 瑩山禅師(けいざんぜんじ)

  • 本尊: 釈迦牟尼仏(お釈迦様)

  • 本山: 永平寺(福井県)・總持寺(神奈川県)



「曹洞宗」の名前の由来

中国の禅宗で活躍した「曹山」と「洞山」という2人の高僧の名前から取られています。正統な禅の教えを受け継ぐ宗派という意味が込められています。



曹洞宗の教えで知っておきたい3つのポイント


1. 只管打坐(しかんたざ)- ただひたすら座る

曹洞宗の最も大切な教えです。

只管打坐とは?

  • 只管 = ただひたすら

  • 打坐 = 座禅をする

「悟りを求めて座るのではなく、ただ座ること自体が悟りである」という深い考え方です。


他の目的との違い

よくある考え

曹洞宗の考え

座禅は悟るための手段

座禅そのものが悟り

何かを得るために座る

何も求めずに座る

結果を期待する

過程を大切にする


2. 行住坐臥(ぎょうじゅうざが)- 日常すべてが修行

曹洞宗では、特別な修行だけでなく、日常生活のあらゆる行為が修行だと考えます。


行住坐臥の意味

  •  = 歩くこと

  •  = 止まること

  •  = 座ること

  •  = 寝ること

つまり、食事・掃除・仕事・睡眠など、普通の生活すべてに仏の教えが込められているのです。


3. 仏心(ぶっしん)- みんな生まれながらに仏様

曹洞宗では「すべての人は生まれつき仏の心を持っている」と教えています。


仏心の考え方

  • 特別な人だけが仏になれるのではない

  • 誰でも本来は清らかな心を持っている

  • 坐禅や日常の行いで、その心に気づける

  • 他の人や生き物のいのちも同じように大切


坐禅って実際どうやるの?


坐禅の基本姿勢

体の整え方

  1. 足の組み方: 結跏趺坐(けっかふざ)または半跏趺坐

  2. 背筋: まっすぐ伸ばす

  3. 手の形: 法界定印(ほうかいじょういん)

  4. : 半眼(薄く開ける)

  5. 呼吸: 自然に、深く


心の整え方

坐禅中の心構え

  • 何も考えないようにしようとしない

  • 思いが浮かんでも追いかけない

  • ただ呼吸に意識を向ける

  • 「今、ここ」にいることを感じる



日常生活に活かせる曹洞宗の教え


普通の生活が特別になる

曹洞宗の素晴らしいところは、特別な場所や時間がなくても実践できることです。


日常での実践例

  • 食事: 一口一口を味わって食べる

  • 掃除: 心を込めて丁寧に行う

  • 歩行: 一歩一歩を意識して歩く

  • 仕事: 集中して取り組む



現代社会での意味

忙しい現代人にとって、曹洞宗の「今この瞬間を大切にする」という教えは、とても実用的です。


期待できる効果

  • ストレス軽減

  • 集中力の向上

  • 心の安定

  • 人間関係の改善


曹洞宗の歴史と発展


道元禅師の功績

道元禅師(1200-1253年)

  • 13歳で比叡山で出家

  • 中国(宋)で正統な禅を学ぶ

  • 帰国後、永平寺を開いて教えを広める

  • 『正法眼蔵』などの重要な著作を残す


瑩山禅師による発展

瑩山禅師の貢献

  • 道元禅師の教えを全国に広める

  • 庶民にもわかりやすく伝える

  • 多くの弟子を育てる

  • 曹洞宗の基礎を固める


曹洞宗の葬儀の特徴


シンプルで心のこもった儀式

曹洞宗の葬儀は、他の宗派と比べて比較的質素で、心の内面を重視します。


葬儀の特徴

  • 主なお経:修証義・般若心経

  • 焼香:通常3回

  • 故人の成仏を心から願う

  • 参列者も心を込めて参加


よく読まれるお経

修証義(しゅしょうぎ) 曹洞宗の教えをわかりやすくまとめたお経で、生きることの意味や修行の大切さが説かれています。


他の禅宗との違い

臨済宗との比較

項目

曹洞宗

臨済宗

坐禅の方法

只管打坐(ただ座る)

公案禅(問答を使う)

アプローチ

静かで穏やか

動的で刺激的

悟りの考え方

座ることが悟り

悟りを目指して座る

どちらも素晴らしい教えですが、曹洞宗の方が初心者には取り組みやすいと言われています。


まとめ:日常に息づく禅の智慧


曹洞宗は、特別な能力や厳しい修行を必要とせず、「普通の生活の中にこそ仏の教えがある」と教えてくれる宗派です。


曹洞宗の核心

  • ただ座ることの尊さ

  • 日常生活すべてが修行

  • 誰もが持つ仏の心

  • 今この瞬間を大切にする


800年前に道元禅師が伝えたこの教えは、現代のストレス社会を生きる私たちにとって、とても実用的で心の支えとなる智慧です。


毎日5分でもいいので、静かに座ってみませんか?背筋を伸ばし、ゆっくり呼吸をして、「今、ここにいる」ことを感じてみてください。

それだけで、曹洞宗の教えの一端に触れることができます。

特別な場所も道具も必要ありません。あなたの日常が、そのまま禅の修行になるのです。

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